断熱性能が低い家とは
冬の季節に、部屋のどこからともなく冷たい空気が流れて来て、ヒヤッとした寒さを感じた経験はありませんか。それは、家の断熱性能が低いことが原因なのかもしれません。築年数が古い住宅では、住宅に使用されている断熱材が少なかったり、全く使用されていない場合もあります。住宅のあらゆるところに隙間が多いと、室内を温めてもすぐに熱が逃げてしまうため、冷暖房のエネルギー効率が非常に悪くなります。
断熱は、壁や床、屋根、窓を通して家の内外の熱移動を少なくすることです。しかし断熱性能が低い家は、熱のコントロールができず、夏は暑く冬は寒いなど極めて過ごしにくい住環境になってしまいます。
参考:経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「省エネ住宅」
断熱性能が低い家のデメリット
ここからは断熱性能が低い家に住むとどのような影響があるのか、さまざまなデメリットを見ていきます。
1.居住者の健康被害リスクが高まる
住環境と居住者の健康面には、さまざまな関連性があるといわれています。身体が冷えることによる健康被害リスクは非常に高く、特に自宅における心臓や脳、呼吸器系疾患死者は冬になると倍増する傾向があるのです。主な死亡要因となる脳卒中、肺炎、心筋梗塞などは寒さによる外部環境が要因となっており、そのひとつとして家の中の室温が関係していると指摘されています。詳しく見ていきましょう。
室温の低さが招く、さまざまな健康被害リスクや疾患
住宅など生活空間における室温の低さと、居住者の健康事象に関してさまざまなデータがあります。一般社団法人日本サステナブル建築協会の調査結果によると、室温の低い家に住む方には下記のような傾向が見られることが確認されています。
・部屋間の温度差が大きく、床の近くの室温が低い家に住む方は、血圧が有意に高い。
・室温が低い家に住む方は、コレステロール値が基準値を超える方、心電図の異常所見がある方が有意に多い。
・就寝前の室温が低い家ほど、過活動膀胱症状を有する方が有意に多い。
・床の近くの室温が低い家では、さまざまな疾病・症状を有する方が有意に多い。
また、イギリスの住宅の健康安全性評価システムによると「室温が16度以下になった場合、呼吸器疾患、心血管疾患など高齢者にとって大きな健康リスクがある」といわれています。また「室温10度以下の環境では、心臓発作や脳卒中など心血管疾患による死亡率が50%も上昇する」ともいわれているのです。
これらの調査結果から、住宅の室温の低さが居住者に与える健康被害の大きさがお分かりいただけるでしょう。
ヒートショックの危険性が高まる
断熱性能が低い家は室内から外に熱が逃げてしまうため、部屋間で室温差が発生しやすくなります。室温差の大きい部屋を行き来すると、血圧の急変動が起きるため、ヒートショックが起きてしまう可能性が高まるのです。
ヒートショックとは
ヒートショックは、急激な温度変化により身体に及ぼす悪影響のことです。高齢者が冬のトイレや、起床時の寒い居間などで、心筋梗塞や脳血管障害を発症する事例が挙げられます。
室温差が大きくなる冬の浴室では、ヒートショックが起きる危険性が非常に高まります。例えば、居間や脱衣所の室温が18度未満の家では、その寒さゆえ風呂温度を42度以上にする「熱め入浴」になりがちです。熱め入浴になると、ヒートショックなどの入浴事故リスクが起こりやすくなります。居間や脱衣所の温度が18度以上あり、家全体が温かい住宅と比較すると、そのリスクは約1.8倍に増加するといわれています。
※居間・脱衣所の室温が低い家では、熱め入浴(風呂温度42度以上)の確率が有意に高い
参考:一般社団法人日本サステナブル建築協会|「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存じですか?参考:国土交通省|断熱改修等による居住者の健康への影響調査 概要
シックハウス症候群の危険性
断熱性能が低い家に住んでいると寒さを感じることが多いため、さまざまな暖房器具を使用する頻度が増えるでしょう。例えば、石油・ガスで燃焼させる暖房器具を使った場合、水蒸気が多く発生し、室内の空気が汚れ、水蒸気が結露として発生してしまいます。室内の窓や壁などに結露が発生している時は、湿度環境が悪化している証拠です。
結露は、住宅や家具が汚れるだけでなく、居住者の健康面にも悪影響を及ぼします。結露がカビ・ダニの発生原因となり、次第にアレルギー、シックハウス症候群や感染症などを引き起こしてしまうケースもあるでしょう。
シックハウス症候群とは
住居に由来する、さまざまな健康障害の総称。建材から発生する化学物質や、カビ・ダニによる空気汚染で人の健康に影響が及びます。全身症状としては、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛、皮膚の紅斑、蕁麻疹や湿疹、目鼻口のどに起きる痛みなど。
参考:厚生労働省「
健康な日常生活を送るために シックハウス症候群の予防と対策」
2.高断熱住宅と比べて、さまざまなコストがかかる
断熱性能が低い家の場合、初期費用などコストは安く済むものの、さまざまなランニングコストが大きくなるといわれています。ここでは、光熱費と医療費のコストについて詳しく見ていきましょう。
光熱費
住宅にかかわる大きな固定費といえば、電気・ガス料金の光熱費。特に、夏の暑さと冬の寒さ対策には、エアコンなど冷暖房設備の使用は欠かせません。断熱性能が低い家だと、必要以上に部屋を涼しくしたり温めたりしてしまい、エネルギー消費量が多くなる上、光熱費がかかってしまいます。今後、電気料金などのエネルギー価格が高騰した場合の経済効果ダメージは非常に大きいです。逆に、断熱性能が高い家であれば、冷暖房や給湯の削減が見込めるため、エネルギー消費量・費用のランニングコストがかなり抑えられるでしょう。
医療費
先述した通り、家の断熱性能が低い家では居住者の健康被害リスクが高まるため、医療費がかかることが考えられます。例えば、夏に室温が高く熱中症になってしまったり、室内環境が悪いことから風邪や気管支炎などに罹ったりする可能性も高いといわれています。このような症状が見られると、やはり必然的に病院へ足を運ぶ回数も増えるため、結果的には医療費が増えてしまうのです。断熱性能を高めることにより、居住者の健康維持増進効果が見込め、医療費も軽減できるのは大きなメリットでしょう。
参考:経済産業省「なるほど省エネ住宅」>>木更津市での性能基準ごとの光熱費・室温の差について詳しくはこちら!
木更津市・君津市周辺の気候特性と断熱性能の高い住宅
ここからは、千葉県木更津市・君津市周辺の気象特性から、断熱性能の必要性について見ていきましょう。千葉県は一年を通して比較的温暖な気候の土地です。その中でも、東京湾岸に位置する木更津市・君津市周辺では、どのような特徴が見られるでしょうか。
臨海部にある木更津市の夏は、真夏日の日数がとても多いことが特徴的です。年間の最高気温が30度を超える日数の平均値は50日を超えます。梅雨明け後は南よりの風が吹くことが多く蒸し暑く晴れが続き、天候は安定します。夏は日照時間が長く、夜も熱帯夜となる日が多い傾向です。
木更津・君津市周辺は、比較的冬でも温暖な地域になっています。最低気温が0度未満となる日数平均値は16日程度です。冬は晴れて湿度の低い日が多くなり、最も寒さが厳しくなるのは1~2月にかけてで、雨や雪が降ったり、強風が吹いたりする日もあります。
そんな木更津市・君津市周辺の暑い夏、寒い冬の日を快適に過ごすためには、断熱性能を重視した家づくりを検討するのがおすすめです。高断熱・高気密の住宅にすることで、熱気や冷気が室内に侵入するのを防ぎ、自宅の室内環境を快適な状態に保てるでしょう。
>>断熱材を種類別に比較したときのメリット・デメリットについて【木更津編】市詳しくはこちら!
健康に生活できる家を考えるなら、断熱性能の高い家がおすすめ!
ここまでご紹介した通り、室内温度・断熱性などが住宅や居住者に与える影響はとても大きくなっています。日常生活が制限されることなく健康的に生活できる期間である健康寿命は、千葉県に住む方の男性は72.61歳、女性は75.71歳といわれています。健康寿命がより長くなる住まいを目指すなら、家の断熱性能が重要なポイントになるでしょう。
参考:木更津市HP「市の位置・地勢・歴史」参考:銚子地方気象台HP「千葉県の気象特性」参考:厚生労働省|健康寿命の令和元年値について(2019年)
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