断熱性能の基礎知識
国は地球温暖化対策の一環として、2015年に「建物省エネ法」を制定し、建築物の消費エネルギー量削減を推進しています。住宅の断熱性能も、省エネにおいて重要な要素です。
住宅の断熱性能を理解するために、まず断熱性に関わる基本的な用語を解説しましょう。
断熱性能の指標「UA値」とは
「UA値(外皮平均熱貫流率)」と呼ばれる指標が、住宅の断熱性能レベルを表します。住宅の屋根や床、壁、窓といった「外皮」と呼ばれる部分から、住宅内部の熱がどの程度「逃げていくか」を計算した数値です。「0.4W/(㎡・K)」や「0.75W/(㎡・K)」などの数字で表記します。UA値は熱の失われやすさを示すため、数字が小さいほど、高断熱住宅と言えます。
では、UA値がどのくらいの数値であれば、高い断熱性能と言えるのでしょうか。例えば同じUA値の住宅を、北海道で建てた場合・東京で建てた場合・沖縄で建てた場合とでは、生活の快適さが大きく異なるでしょう。沖縄では十分な断熱性がある家でも、北海道では、冷え切った寒い家になる可能性があります。このことから分かるように、住宅の断熱性は、UA値だけでは評価できません。UA値とあわせて、地域区分と評価基準を知る必要があります。
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地域区分とは
国土交通省は、建物のエネルギー消費性能(省エネ性能)を算出するための要素として、地域の気候差を考慮し、全国を8段階に区分しています。これを地域区分と言います。大まかに表すと、下記の通りです。(2020年7月時点の区分)
同じ都道府県内であっても、市町村によっては、区分が異なる場合があります。地域区分の詳細は、国土交通省のHPを確認してください。
省エネ住宅の評価基準「省エネ基準」とは
国土交通省が、建物の省エネ性能の基準を詳細に定めたのが、省エネ基準です。基準の内容は、時代にともなって度々改正されてきました。現在の基準は、2016年制定の「平成28年省エネ基準」です。
国は省エネ住宅の普及を進めており、今後、新築住宅の最低基準は段階的に引き上げられます。2025年には、省エネ基準が新築建物の最低基準となる予定です。
省エネ住宅の評価基準「ZEH基準」とは
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称です。高断熱などの高い省エネルギー性能と、太陽光発電などの設備の導入により、消費エネルギーと生産エネルギーが差し引きゼロになることを目指す住宅を表します。
ZEH基準は、省エネ基準よりも、厳しい数値設定です。2030年度以降の新築建物は、ZEH基準を満たすことが義務化されます。
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省エネ住宅の評価基準「HEAT20」とは
HEAT20は、国ではなく、一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(略称:HEAT20)」に所属する有識者達が提唱した基準です。省エネ基準やZEH基準よりも高い水準の断熱性を目指した内容になっており、近年注目されています。
HEAT20の特徴は、基準を決める上で、「室温」や「暖房負荷の削減率」を重視している点です。G1・G2・G3の3つのグレードがあり、大きい数字になるほど、断熱性能が高いことを表します。
省エネ住宅の評価基準まとめ
省エネ基準・ZEH基準・HEAT20の、地域区分ごとのUA値をまとめました。HEAT20基準の住宅は、他の基準よりも非常に高い断熱性があることが分かります。
※8地域は基準の設定がありません。
なおHEAT20は、同じ地域区分であっても、エリアによって地域補正する必要性があるとされています。表は、代表地点のUA値です。
木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市の地域区分と各基準のUA値
木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市の地域区分と、各基準の具体的なUA値を確認しましょう。
木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市の地域区分は、いずれも6地域です。日本の多くの地域と同じで、一般的な気候の地域と言えます。6地域の省エネ基準・ZEH基準・HEAT20に対応したUA値は、次の表の通りです。
木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市の気候
千葉県の一部は房総半島で、太平洋に突き出た形になっています。木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市は、西は東京湾、東は山地が広がっており、都会的な便利さと豊かな自然が共存する地域です。
比較的温暖な海洋性気候で、年間の平均気温は、木更津市16.0℃、袖ケ浦市15.9℃、君津市16.0℃、富津市15.5℃となっています。
千葉県の夏は、8月の平均気温が27.1℃、最高気温が31.0℃です。6月〜99月は、最高気温が25℃を超える日があります。
冬の寒さが厳しいのは、1月~2月頃。1月の平均気温は6.1℃、最低気温は2.4℃です。木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市は、積雪が見られることがあります。君津市の一部などの内陸部は、過去に大雪が降った年もありました。
特別な気候の地域ではありませんが、年間を通して大きな気温差があります。断熱性の高い家であれば、室温を保ちやすく、省エネ・快適な生活ができるでしょう。
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省エネ基準・ZEH基準・HEAT20で、室温・光熱費にどのくらい差がある?
木更津市・袖ヶ浦市・君津市・富津市で住宅を建てた場合、省エネ性能の違いによって、室温や光熱費にどの程度違いが出るのでしょうか。
室温の比較
HEAT20が提唱する住宅シナリオによると、6地域の場合、冬期の最低室温(暖房期最低室温)の水準は次の通りです。
6地域の暖房期最低室温
室温を維持できるということは、気持ちよく暮らせるだけではなく、急激な温度変化による「ヒートショック」のリスクを低減するなど、健康にも役立ちます。また結露を防ぎ、カビの発生を抑えるなど、住宅を健康・安全な状態に保つ意味でも重要です。
冬期でも13℃以上を確保できるHEAT20(G2)水準の住宅であれば、室温の変化が小さいため、温度変化による住まい手・住宅のトラブルを抑えられるでしょう。
光熱費の比較
断熱性能によって、光熱費はどの程度削減できるのでしょうか。
国土交通省発行パンフレット「快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅」によると、地域区分6の地域の年間光熱費は、次のようにシミュレーションされています。
従来の住宅とZEH基準相当の住宅を比べると、年間で約12万円の光熱費削減になります。住宅取得後、数十年間過ごすことを考えると、決して小さい額とは言えません。断熱性が高いことで、電気やガスによる冷暖房機器の使用が抑えられ、電気料金・ガス料金の節約につながります。
またHEAT20が提唱する住宅シナリオによると、6地域にHEAT20基準の住宅を建てた場合、省エネ基準と比べて、次のように冬期の暖房負荷を削減できます。
6地域の暖房負荷削減率(省エネ基準と比較して)
HEAT20はZEH基準よりも厳しい基準です。G1グレードでも、省エネ基準と比べて約40%暖房負荷が削減できるため、HEAT20基準で住宅を建てれば、光熱費削減効果は非常に高いと言えるでしょう。
なお、省エネ住宅を建てる場合、再生可能エネルギーの導入を検討する方も多くいます。その場合は、さらなる光熱費削減効果が見込めるでしょう。
R+house木更津は高い断熱性能を重視しています
R+house木更津の強みのひとつは、高い断熱性能です。ご家族皆様の理想の住まいを実現するために、デザインや素材のみならず、高い断熱性にもこだわっています。建築家設計プランの平均UA値は、HEAT20のG2グレード相当の0.46前後です。快適さと省エネ性を両立することで、安全・経済的な住まいを実現します。ぜひお気軽にご相談ください。
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